男は土、女は花?
強く生きるものは美しい
ホームセンターの園芸コーナーで、ふと聞いた会話。「男は土を、女は花を買うんだよな」と店員さんが笑っていた。聞き流しかけたけれど、なぜか耳の奥に残った。
土と花、という対比。たしかに僕も、花より先に土のことを考える。この塊根植物に合う粒度はどれか、どの配合なら根腐れを起こさないか。花屋で色を選ぶより、鉢と培養土の前で立ち尽くしている時間のほうが、ずっと長い。
強く生きるものに、惹かれる理由
乾ききった岩の隙間に根を張るパキポディウム。アフリカの強風に耐えて、それでも年に数日、白い花を咲かせる。誰に見せるためでもなく、ただ生きるために。
そこには、弱くないことの美しさがある。可憐さや繊細さとは別の、岩のような静けさ。僕が塊根植物に惹かれる理由は、たぶんそこにある。
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土を選ぶ、ということ
土を選ぶのは、植物の未来を選ぶことだと思っている。どれだけ美しい個体でも、合わない土に植えれば根は窒息する。逆に、地味な実生苗でも、合う土に出会えば信じられないくらい動く。
店員さんの言葉は、揶揄ではなく、ひとつの真理だったのかもしれない。土を選ぶ視線の先にあるのは、花ではなく、植物の一生だ。
それでも、花は咲く
土の話ばかりしていると、花のことを忘れそうになる。でも、どれだけ地味な株でも、ある日ふいに花芽をつける瞬間がある。あの、静かな驚き。
強く生きるものが美しい、というのは言い換えると、「美しくあるために、強くなった」ということなのかもしれない。そんなことを、今日も土を混ぜながら考えている。
— END —